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【寄稿】韓国における臨床試験環境の最新状況

「企画特集」日本の臨床試験を巡る環境:現在、そして今後への提案 PhRMA News U.S. Healthcare Policy Update 読者の声

企画特集:日本の臨床試験を巡る環境:現在、そして今後への提案

韓国においては、海外の医薬品企業が臨床試験を実施し易い環境の構築に向け、大きな進展が見られました。韓国人専門家による、本寄稿記事は、臨床試験が置かれている環境に大きな、かつ迅速な改善をもたらすにあたり、日本にも応用可能な視点含むものであると、PhRMAでは考えています。

In-Jin Jang MD, PhD
ソウル大学校医科大学およびソウル大学校病院

歴史と現状

ICH会議は、韓国の規制当局である食品医薬品安全庁(KFDA; Korea Food & Drug Administration)が、海外において開発された新薬の販売承認について、「橋渡し」のコンセプトを採用するきっかけとなった。またKorean Good Clinical Practices (KGCP)もICH-GCP (International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use-Good Clinical Practices)に合わせて改訂された。より大きな変化としては、薬事法において研究新薬(IND; Investigational New Drug)と新薬申請(NDA; New Drug Application)が分離された点がある。これによって韓国の研究者も新薬開発のために多国間での研究に参加できることが可能となった。海外医薬品企業の韓国子会社は、2000年以降、自社のR&Dの一環として国際的な臨床開発に参加している。同時に橋渡し、データを作成することを目的とした複数の薬物動態試験(PK)・薬物動態/薬力学(PK-PD)試験も開始されている。これにより、韓国の小規模な研究者グループも、グローバルな基準に則り、臨床試験に初期の段階から参加するようになった。

2000年以降、韓国での臨床開発活動は、海外と国内向けの両方で急増している。KFDAが2008年に承認した臨床試験の数は国内向け、または橋渡し試験が184件、国際試験は216件となった。  graph1.JPG最近の成果と進行中の作業

2004年以来、韓国政府は臨床試験に対する支援を開始し、「地域CTCプログラム(Regional Clinical Trial Center Program)」としてインフラ構築資金を複数の臨床試験センターに供与している。このプログラムは、2007年12月にKoNECT(Korea National Enterprise for Clinical Trials)プログラムへと拡大された。KoNECTプログラムは15の地域CTCの支援に加え、専門家の育成と新技術の開発もその目的としている。現在、KoNECTは臨床試験に関する韓国政府の代表的プログラムとなっている。

今年になり、KoNECTはさらに2個所のCTCを設立するため、インフラ構築資金を助成するための提案に際し、コンペティッションを開催した。10の大学病院が既に提案書を提出している。臨床試験専門家育成プログラムの対象には、臨床研究者、臨床薬理学者、臨床研究コーディネーター(CRC)、臨床試験モニター(CRA)、臨床試験薬剤師、医薬専門医師、医薬疫学者・生物統計学者、およびPK/PDモデル構築家(ファイザー社との協力による)が含まれる。革新的な技術開発とその臨床試験機関や産業界への普及のため、20を超える研究者グループに対して6つの主要なクリティカルパス研究分野の助成金が給付されている。KoNECTの事務局は韓国の4つの病院と日本の「グローバル早期臨床試験推進のための大学病院ネットワーク」との間で覚書を交わすにあたり、またファイザー社によるCORE研究拠点プロジェクト(Center Of Research Excellence Research Site Project)のホストを務めるにあたって中心的な役割を果たしてきた。このCORE拠点はファイザー社によるすべての早期第II相臨床試験のうち半数について優先的に参加権を得る予定である。

KFDAは、臨床試験円滑化のための規制改訂にあたって非常に重要な役割を果たしている。KGCPには2007年1月に共同臨床試験審査委員会(IRB)が導入され、また2008年6月には臨床試験審査委員会の相互承認を認めることによって審査のアウトソーシングが可能になっている。これにより、多施設による臨床試験の際の審査期間が短縮される。2008年6月からは、前研究新薬時点での協議(pre-IND consultation)の後に提出された研究新薬(IND)を対象とした30日間の承認期限が発効する。臨床試験に関する主な基準となる薬事法の改訂版は既に(2008年11月)提出され、韓国の国会において審議が行われている。主な改訂点には臨床試験に関するKFDAからの承認が自動的に免除される臨床試験届(CTN)の制限がある。

主な大学系の臨床試験センターは試験設備の更新ないし拡充を進めている。その一例として臨床試験と研究により適した電子カルテ(RME)システムの改良がある。実施中または開発中の項目にはウェブベースの臨床試験、ウェブによる臨床試験審査、CRA/CRCによる電子カルテ利用のコントロールと追跡、施設内の電子的データ取得(EDC)ツールなどがある。韓国保健福祉家族部(Ministry of Health, Welfare and Family Affairs)が承認した非営利団体である大韓臨床研究審議機構協議会(Korean Association of IRBs)は政府および病院と積極的に協力し、定期的な教育、臨床試験審査のための標準業務手順書(SOP)、および臨床試験審査員のための留学資金の管理を行っている。

今後の見通し

Nature Review of Drug Discovery誌の2008年1月号に掲載された「臨床試験のグローバル化における動向」と題されたレポートにおいて、韓国はバイオ医薬品の臨床試験への参加に関して第25位にランクされた。同じ論文において韓国の臨床試験密度(被験者募集医療機関数を人口で割ったもの)は、オーストラリアの6分の1、米国の14分の1に過ぎなかった。この指標はまた韓国での臨床試験の拡大余地も示している。しかしこれには活動中の医療機関が偏在していること、中国との競合、一般の理解、および臨床試験審査の質など複数の障壁が有る。たとえば5年間にこの指標を6倍に拡大するといった目標を達成するためにはこれらのハードルを取り除かなければならない。

韓国ではソウル首都圏が最も人口密度の高い地域であるが、今後被験者の参加をより効率的に進めるためには他の都市についても活性化を進めなければならない。韓国の医療機関がかつて参加していた第III相試験については中国とインドが手がけていくと予想される。韓国の医療機関は第I相ないし第II相試験への参加を拡大しなければならない。幸いなことに第II相と第I相試験の件数は過去3年間に拡大している。臨床試験に対する韓国人の姿勢はより前向きなものへと変わってきているものの、全体としてのその動きは緩慢である。

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