新薬の価値
医薬品の価値
●米国民の平均寿命は延びており、健康状態もより良好になっている。乳児死亡率が下がり続け、高齢者の中で障害を持つ人の割合も、この80年の間に3倍近く低下している。
●1995年生まれの人の平均寿命は、1920年生まれの人に比べ22歳(41%)長くなると予測されている。
●J.D.クラインクの研究によると、その理由として、公衆衛生の様々な改善の中に一つの共通した要因が見出されるという。それは、医薬品の飛躍的な進歩である。
Source:J.D. Kleinke, “The Price of Progress: Prescription Drugs in the Health Care Market,” Health Affairs, September/October 2001, Vol. 20, No. 5; Lichtenberg F., “Pharmaceutical Innovation, Mortality Reduction, and Economic Growth,” Presented at the Conference on the Economic Value of Medical Research, December 1999.
新薬の価値
- 患者の入院期間を短縮し、手術を最少限にし、生活の質(QOL)を向上させる。
- 副作用を抑える。
- 旧来の薬と置き換えることで多くの場合、死亡率・罹 病率の低下に繋がる。
- 優れた新薬は、医療費全体を削減する。
- 革新的な医薬品は、勤労者の生産性を高める。
- 病気の予防に貢献し、合併症を軽減する。
T、新薬は生活の質を改善する
医薬品は様々な形で患者の生活の質を
改善する。
- 入院(救急診療を含む)を減らし、
- 手術による治療をできるだけ回避し
- 患者のより活発で自立した生活をサポートする
医薬品のより一層の活用は、入院、入院期間、手術の減少に繋がる
- 入院、入院期間や手術の減少が最も顕著だったのは、診断によって処方薬の使用の増加が最大となり、また薬の流通に最大の変化が見られた分野である。
- 処方箋が100件増えるごとに入院が16.3件減ると推定されている。
Source: Frank R. Lichtenberg, “Do (More and Better) Drugs Keep People Out of Hospitals?”
The American Economic Review, Papers and Proceedings of the Hundredth and Eighth Annual
Meeting of the American Economic Association, May 1996.
新薬の服用により、喘息患者の医療費総額は約25%、入院率は50%下がっている
- 米国では、入院の要因として喘息が第9位に上げられている。喘息の症状は、適切な医薬品を服用することで特にその軽減が図られる。
- ノー スカロライナ州のメディケイド(低所得者向け医療扶助制度)による喘息患者のうち、吸入コルチコステロイド剤の投与を受けたグループでは、入院患者数は 50%、外来回数は26%減少したが、投与を受けなかったグループは、入院患者数が23%、外来回数が36%増加した。
- 吸入コルチコステロイド剤による治療の結果、患者一人当たりの月間総医療費は24%削減された。
Source:R. Balkrishnan, MS (Pharm), et al., “Outcomes and Cost Benefits Associated With the Introduction of Inhaled Corticosteroid Therapy in a Medicaid Population of Asthmatic Patients,” Clinical Therapeutics, Vol. 20, No. 3, 1998.
新薬の投与を受けた喘息患者と受けないグループによる受診の比較 ![]()
新薬は手術をせずに済ませる一助となっている
コ レステロール値降下剤であるシンバスタチンを使った治療では、5年間の治療で入院回数が1/3削減された。また、入院となった場合の入院日数も減り、バイ パス手術や血管形成術の必要性も低下した。経済学者でもあるペンシルバニア大学の内科医サンフォード・シュワルツ博士は「これは効能面だけでなく経済面か ら見ても優れた薬です」と述べている。
Source:“Cholesterol Pill Linked to Lower Hospital Costs,” The New York Times, March 7, 1995
消化性潰瘍の手術件数は、H2拮抗薬が導入された1977年当時、97,000件だったが、10年後の1987年には19,000件に減少した。この結果、年間2億2,400万ドルの医療費が節約できたと推定されている。
Source:“The Contribution of Pharmaceutical Companies: What’s at Stake for America, Executive Summary,” Boston Consulting Group, September 1993.
処方薬は喘息関連の入院/緊急外来を避けるのに役立つ
- 最近の研究によれば、アレルギー性鼻炎の治療によって、入院患者および緊急外来の数が減る可能性があると報告されている。
- こ の研究は、民間の保険に加入している患者で、アレルギー性鼻炎および喘息の両方に罹っていると診断された4,944名の保険請求データに基づくもの。それ によると、鼻炎用吸引ステロイド剤、鎮静作用のある抗ヒスタミン薬、および/または鎮静作用のない抗ヒスタミン薬で治療を受けた患者は、治療を受けていな い患者に比べ、喘息関連で医療機関にかかる(入院あるいは緊急外来)可能性が約半分であることが判明した。
Source: Jodi Crystal-Peters, et al., “Treating Allergic Rhinitis in Patients with Comorbid Asthma: The Risk of Asthma-Related Hospitalizations and Emergency Department Visits,” J Allergy Clin Immunology 109 (January 2002) 1: 57-62.
処方薬の治療を受けているアレルギー患者は、治療を受けていない患者に比べて喘息関連で医療機関にかかる回数が著しく減少している ![]()
Notes: Treated=An individual was considered treated if he or she had a prescription for a nasal inhaled steroid, a sedating antihistamine, or a non-sedating antihistamine.; Asthma-Related Events=Hospitalizations or emergency department visits. ER=Emergency Room
Source: Jodi Crystal-Peters, et al., “Treating allergic rhinitis in patients with comorbid asthma: The risk of asthma-related hospitalizations and emergency department visits,” J Allergy Clin Immunology 109 (January 2002) 1: 57-62.
II. 新薬は副作用を抑えている
新薬が副作用を抑えていることが判明しており、多くの場合、コンプライアンス(処方上の注意の遵守)向上や健康の増進に繋がっている。
例えば米国では、従来の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が胃腸系に及ぼす副作用により、年間107,000件の入院と16,500人の死亡が発生していると推測される。
(Source:“Adverse Upper Gastrointestinal Effects of Rofecoxib Compared with NSAIDs,” The Journal of the American Medical Association, Vol. 282, No. 20, November 24, 1999.)
従来のNSAIDを服用している患者の約20%〜30%に慢性的な副作用が現れており、その結果、治療を中断する患者は10%以上に上ると推定される。
(Source:“Anti-Inflammatory and Upper Gastrointestinal Effects of Celecoxib in Rheumatoid Arthritis,” The Journal of the American Medical Association, Vol. 282, No. 20, November 24, 1999.)
新たに開発された、Cox-2阻害剤として知られるNSAIDを服用した場合、以前ほど胃のむかつきがみられず、従来のNSAIDに比べて合併症が起きる危険性も低いことが判明した。
多くの場合、新薬は従来の薬より副作用が少なく、投与方法も簡単
過去10年間で、うつ病の治療を受けている米国人は170万人から630万人に増加している。
- 患者数が増えた主な理由の一つとして、副作用が少なく投与方法も簡単になった新抗うつ剤など、うつ病治療の処方薬の選択肢が着実に広がったことが挙げられる。
Source:Olfson, Mark et al., “National Trends in the Outpatient Treatment of Depression,” The Journal of the American Medical Association, 2002; 287: 203-209.
III. 医薬品は死亡率および罹病率を低下させる
- 医薬品(薬およびワクチン)は、かつては死亡率の高かった病気や症状の多くを撲滅、あるいは抑制している(例:インフルエンザ、ポリオ、肺炎、ジフテリア)。
- また医薬品は、他の病気および症状による死亡率を大幅に低下させる一助となっている(例:エイズ、喘息、心臓麻痺、脳梗塞、潰瘍)
医薬品の発見は、慢性および急性症状による死亡率を低下させている
例:
- 抗生物質は、リウマチ熱およびリウマチ性心疾患による死亡率を、1965年から1996年の間に83%低下さた。
- ACE阻害剤、βブロッカー、硝酸などの薬は、アテローム性動脈硬化による死亡率を74%低下させた。
- H2ブロッカーとプロトンポンプ阻害薬は、胃潰瘍および十二指腸潰瘍による死亡率を72%低下させた。
病気による死亡率の低下とその新薬の数は直接関係していることが、研究により明らかになっている
- 1970年から1991年までの病気による死亡率の変動は、その病気の治療に新薬が使われた程度で45%以上説明できる。つまり、死亡率の低下を説明する上で、新薬が最も重要な要素となっている。
- 1970年から1991年にかけて導入された436の新薬は、米国民の寿命を毎年11,200年(累計)延ばした。
Source:Lichtenberg, Frank, “Pharmaceutical Innovation, Mortality Reduction, and Economic Growth,” Presented at the Conference on the Economic Value of Medical Research, December 1999.
医薬品の進歩は、将来にわたり死亡率を低下させ続けるものと予想される
- バテル研究所による4件の研究は、2015年の米国、ドイツ、フランス、英国における病気のパターンを予測している。
- これらの研究は、医薬品の革新は死亡率を低下させる主要因であり続けると示している。その割合は次の通り:
- 予測される冠状動脈性心臓病の死亡率低下のうち 19〜40%
- 脳血管疾患の死亡率低下のうち15〜40%
- 乳がんの死亡率低下のうち28〜65%
- 肺がんの死亡率低下のうち3〜26%
Source: Hall, M, “The Impact of Behavioral and Biomedical Advance on Health Trends Over the Next 25 Years,” London, UK: Office of Health Economics; Office of Health Economics Briefing, No. 31, November 1994.
革新的な医療が命を救っている
- 1950年には、年間1,000人に4人が心循環器疾患で命を失っていたが、現在この数字は半減している。1950年から現在に至るまで、心循環器疾患による死亡者数の低下が、米国人の平均寿命を延ばしてきた最も重要な要因となっている。
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Source: Health, United States 2001, Centers for Disease Control and Prevention, U.S. Department of Health and Human Services, August 2001. Data based on National Vital Statistics System.
心循環器疾患の予防と治療による利益は、その費用を上回っている
- 心 臓発作を経験した人の平均余命は、1984年には62カ月(5年と2カ月)だったが、1991年には70カ月にまで伸び、13%改善した。研究者たちは、 寿命が延びたことによる経済的利益(言い換えれば、追加された8カ月の命の価値)は約12,000ドルで、追加支出(約4,000ドル)よりも大きいと計 算している。
- 特 に重要な要素は医薬品である。心循環器疾患に関する研究の大半が、第一次予防(重大な発作を起こす危険性のある人の死を予防)および第二次予防(重大な発 作を起こしたことのある人の再発による死を予防)によって死亡者数が大幅に低下したことを示している。医薬品は、第一次および第二次予防の双方において重 要な役割を果たしている。
Source:Cutler, D, et al., “Pricing Heart Attack Treatments,” Conference on Research in Income and Wealth, National Bureau of Economic Research, June 12-13, 1998.
心臓発作の予防と治療による効果が、長年の研究により、明らかになった ![]()
Source: Cutler D., et al., “Pricing Heart Attack Treatments,” Conference on Research in Income and Wealth, National Bureau of Economic Research, June 12-13, 1998.
IV. 新薬がいままでの薬に替わることで、総医療費が削減される
- より新しい薬の使用は、薬以外のあらゆる種類の医療費を抑える傾向にあり、結果として、ある症状の治療に要する総費用を低減する。
- 新しい処方薬への支出を18ドル増やすことで、薬以外の費用が71.09ドル減少し、その結果、総医療費が53.09ドルの節約となる。
Source: Lichtenberg, F., “Are the Benefits of Newer Drugs Worth Their Cost? Evidence From the 1996 MEPS,” Health Affairs, Vol. 20, No. 5, September/October 2001.
新薬の使用が処方費などの医療費に与える影響
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大統領の経済報告も、新たな治療法の価値に触れている
- 米国大統領の2002年経済報告は、次のように述べている:
- - 「様々な病気において、治療に対する支払いが増えても、その病気自体による直接的および間接的費用の低減によって埋め合わされて余りある、という証拠が次 々と出てきている。言い換えれば、多くの疾病の治療にかかる費用(質的に調整した費用)は低下してきているため、より徹底的な治療が行われるにつれて、費 用の絶対額は増えているものの、時の経過とともに医療費はより効率的に使われるようになってきている」(強調を付加した)
Source: Economic Report of the President, Transmitted to the Congress February 2002, Available at www.gpo.gov.
ヒュマーナ病院が、鬱血性心不全患者1,100名を対象に行った1年間の疾病管理プログラムによると、薬代は60%増加したが病院費が78%低下したため、930万ドルの節約となった。
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Source: Hall, M, “The Impact of Behavioral and Biomedical Advance on Health Trends Over the Next 25 Years,” London, UK: Office of Health Economics; Office of Health Economics Briefing, No. 31, November 1994.
HIV/AIDSに対する医薬品関連費用の増加は、HIV/AIDSに対する総医療費を抑えることが証明された
- フロリダ州のメディケイドのエイズ患者に関する研究によって、処方薬へと構造転換することで得られる利点が浮き彫りになった。
- 1990年代後半、フロリダ州のメディケイドのエイズ患者グループが、特別なウェイバープログラムによって治療を受けた。ウェイバー患者にはより積極的な投薬治療が行われた結果、薬代は高くなったが総医療費は大幅に低下した。
- 同プログラムによる別の研究では、「たんぱく質分解酵素抑制剤の使用が10%増える度に、1人当りの経口薬費用が月額86ドル上昇したものの、総医療費は135ドル低下した」ことが明らかになった。
Source:C. Peterson, “HMOs Get What They Pay For With HIV Treatment,” Managed Healthcare, November 1999, p. 42.
ウェイバー患者の薬代は増えたものの、総医療費は低下した
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新しい薬ほど、古い薬に比べ費用効率が高い
- 米国大統領の2002年経済報告は、次のように述べている:
- ブ ルークロス・ブルーシールド協会の資金提供によって創立された製薬研究組織RxIntelligenceは、新たな研究の中で、胃食道逆流症に関する最新 の医薬品についての費用効率を調べた。その結果、この病気については最新の薬が費用対効果の上で最も効率が良いことを突き止めた。
- RxIntelligence会長のマイケル・フレミング博士は、次のように述べている。 「新しい部類の薬の方が、より効果的で、副作用も少ないように見 受けられる。新薬は従来の薬に比べて高価だが、一方で、古い薬 よりも患者の回復を速め、また回復の度合いをさらに完全なもの にしていることを示す証拠がある。古い薬による治療を受けた患 者は、治療が長くかかるため、結局はより多額な医療費を支払う ことになる」
Source:“Expensive New Drugs For Gastro-Esophageal Reflux Disease are Actually More Cost-Effective,” PR Newswire, January 16, 2002.
新薬による治療は、他のヘルスケア支出を代替する
- The New England Journal of Medicine 誌に掲載された最近の研究の中で、AIDS患者に対して抗レトロウイルス療法が導入された場合、その後16カ月で入院患者に対する病院の治療費が43%減少したとの報告がある。
- 退 役軍人局保健医療制度(サンディエゴ)の医師で、この研究を指導指揮したサミュエル・A・ボゼット氏は「この薬はほぼ完全に、入院に取って代わるもので す。(入院という形で)既にAIDS治療に医療費を使っているわけですから、この費用で薬代をまかなえます」と語っている。
Source:“Providing Antiretroviral Therapy for HIV Infection,” The New England Journal of Medicine, Vol. 344, No. 11, March 15, 2001.
医薬品は治療費の削減に一役買っている
- 1994年の研究で、深刻なうつ病は勤労者の生産性と労働時間を低下させ、雇用者に330億ドルの損失を与えていることが分かった。従業員に初期治療やうつ病の診断を積極的に奨励した雇用者は、その恩恵を受けている。
- 例えば、シカゴのBank Oneは1980年代半ばに、診断や適切な治療の費用を負担することに注力し始めた。この決定がなされる前の1983年から1984年にかけて、Bank Oneはヘルスケア総支出の14%をうつ病に費やしたが、その大半が入院費だった。
- しかし、1996年にはうつ病と診断された従業員数が大幅に増えたものの、うつ病に対する治療費は同行の総医療費の6%にまで低下した。
- 同行のうつ病管理プログラムは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使用することだった。
Source:The Value of Pharmaceuticals and Managed Pharmaceutical Care, Foundation for Managed Care Pharmacy, 2001.
新しい治療方法が選べるようになったことと、分析に一層力を入れたことにより、うつ病と診断された件数は大幅に増えたものの、治療費削減につながった
Source: The Value of Pharmaceuticals and Managed Pharmaceutical Care, Foundation for Managed Care Pharmacy, 2001.
1991年から1995年にかけて、うつ病の治療費は25%減少した
- 深刻なうつ病に対する治療法は、この20年間で急激な進歩を遂げた。1988年に発売された選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など、抗うつ薬の革新的な進歩もそのひとつである。
- 薬による治療が進歩している一方、重度のうつ病の治療費は1991年から1995年の間に25%低下した。これには幾つかの要因があるが、医薬品とSSRIの使用が増加する一方、心理療法の度合いが弱まったことを反映している。
Source:Berndt E., et al., “Treatment Price Indexes for Acute Phase Major Depression,” Conference on Research in Income and Wealth, National Bureau of Economic Research, June 12-13, 1998.
アルツハイマー病患者の薬による治療費が1ドル上がると、医療費総支出は3.72ドル下がる
- 最近の研究によると、医薬品治療を行っている軽度から中程度のアルツハイマー病患者が使う処方薬の代金が4倍に増加したものの、総医療費は1/3削減された。
- 医薬品治療を受けているグループの平均的な処方薬代金は、受けていないグループの352ドルに対して1,398ドルである。
- しかし薬による治療を受けている患者の入院費は、受けていないグループに比べて2,883ドル安く、高度看護施設費は同じく1,842ドル安かったという報告がなされている。
Source:Jerrold W. Hill, et al., “The Effect of Donepezil Therapy on Health Cost in Medicare Managed Care Plan,” Managed Care Interface 15 (March 2002) 3: 63-70.
メディケイド看護を受けているアルツハイマー病患者に医薬品治療を行ったところ、医療費が1/3削減された
Source: Jerrold W. Hill, et al., “The Effect of Donepezil Therapy on Health Costs in a Medicare Managed Care Plan,” Managed Care Interface (March 2002): 63-70.
V. 新薬は労働者の生産性を向上させる
- 雇用者にとって医薬品の価値は、勤労者の生産性向上、無断欠勤の低下、健康の向上となって表れる。
- マサチューセッツ工科大学の研究者たちは、4種類の状態にある従業員の治療前と治療後の作業記録を研究し、2週間の稼働時間数を比較した。
- 医薬品による治療を受けた従業員は、稼働時間数を大幅に増やすことができた。
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Source: Berndt, et al., “Illness and Productivity: Objective Workplace Evidence,” Working Paper #42-97, Massachusetts Institute of Technology (MIT), May 1997.
鎮静作用のない抗ヒスタミン薬の使用が生産性を向上させることが明らかになった
- アレルギーにかかっている保険請求事務員の生産性を調べた研究により、鎮静作用のある抗ヒスタミン薬を投与された場合は生産性が7.8%下がったのに対し、鎮静作用のない抗ヒスタミン薬を投与された場合は4.6%上がったことが判明した。
- この研究の著者の1人、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のスタン・フィンケルスタイン博士は「客観的に計測できた生産性の違いは12〜13%でした。これは相当な差であり、意味のあるものです」と語っている。
Source:J Occup Environ Med, 41: 948, 1999.
VI. 新薬は合併症を防止または軽減する
- 高血圧を抑制する新しい医薬品は脳梗塞のリスクを下げることができる。また、血栓溶解薬は脳梗塞が起きた場合の衝撃を軽減できる。
- 潰瘍の治療薬は手術の必要性を大幅に低下させている。従って、手術中または手術後に問題が起きるリスクを回避することができる。
- 糖尿病用の薬は、腎不全や失明といった糖尿病関連の問題が発生するリスクを大幅に低下させる。
コレステロールを下げる薬は、心臓発作や脳梗塞のリスクを低減する
- 心臓発作や脳梗塞の危険性が高い人々について行われた世界最大の研究によると、スタチンとして知られるコレステロール低下薬は、安全にこれらのリスクを1/3減らすことに成功した。
- 今日、世界中で約2,500万人がスタチンを服用している。研究の結果、この薬を服用することで、世界中で約2億人が利益を得ていることが示された。
- この研究の主任研究員によると、心臓発作や脳梗塞の危険性が高い患者1,000万人がスタチンを服用し始めた場合、毎年50,000人の命が救われることになる。
Source: Lawrence K. Altman, “Cholesterol Fighters Lower Heart Attack Risk, Study Finds,” The New York Times, November 14, 2001.
潰瘍治療の進歩は、医薬品の革新が病気の悪化を防止または軽減できることを実証している
- 胃酸の分泌を抑制するH2拮抗薬が登場した1977年以前には、毎年97,000件の潰瘍手術が行われていた。ところが1987年には、年間の手術件数は19,000件未満にまで減少した。
- 1990年代には、1人当りの年間手術費が28,000ドルだったのに対し、薬による治療費は900ドルだった。
- 潰 瘍の主な原因がヘリコバクター・ピロリ菌であることが発見され、十二指腸潰瘍の治療にはH2拮抗薬と共に抗生物質が使われるようになった。現在、多剤併用 療法は患者1人につき約140ドルのコストで、ほとんどの潰瘍の原因を根絶している。ボストン・コンサルティング・グループによると、この新しい治療法は 少なくとも年間2億2,400万ドルの医療費支出を節約している。
Source: “The Contribution of Pharmaceutical Companies: What’s at Stake for America,” The Boston Consulting Group, September 1993.
H2拮抗薬の開発は、潰瘍の年間手術件数の劇的な減少につながっている
Source: “The Contribution of Pharmaceutical Companies: What’s at Stake for America?” The Boston Consulting Group, September 1993.
3件の研究の結果、薬で糖尿病患者の腎臓疾患を遅らせられると判明した
- 過去2年間で米国内の糖尿病患者は急激に増え、患者数は1,600万人に達すると言われている。この疾病が行き着く先の一つが、腎臓損傷。現在、約30万人の米国民が腎臓疾患のため腎臓透析を受けており、8万人が腎臓移植を受けている。
- 広く使われている血圧降下剤は、最も一般的な糖尿病を患っている人々の腎臓疾患の進行を大幅に遅らせることができる。これにより、透析や移植が必要になる時期が2年〜3年先に延びる。
- この治療法が広く用いられた場合、今後10年間でこうした最終段階の治療の必要性が1/3〜1/2程度減少する可能性がある。
Source: Philip J. Hilts, “3 Studies Show Drug Can Slow Kidney Disease,” The New York Times, September 20, 2001.
薬の未来
- 一部の歴史学者は、1940年代から1990年代までの時代を「薬の黄金時代」と呼んでいる。しかし、多くの科学者たちはこの年代の業績すら、21世紀の偉業の前には小さく見えるだろうと予測しはじめた。
- 製薬会社やバイオテクノロジー企業は1,000以上の新薬を開発中であり、2002年の研究開発費は300億ドルを越えた。
未来を予測するのは不可能だが、科学者たちがこの来るべき薬の「プラチナ時代」が実現すると信じている進歩を以下に幾つか挙げてみる。
- AIDSの侵入阻害薬。既に、薬でAIDSウィルスの増殖を止めることが可能となっている。次の躍進は、ウィルスが細胞に侵入すること自体を阻止する薬である。
- アルツハイマー病の進行を遅らせる薬。
- 心臓に新たな血管を作らせるよう刺激する薬。これにより、バイパス手術の必要性が減少する。
- 脳疾患もしくは脊髄損傷のために傷ついた神経を再生できる治療法。
Sources: “The Hunt for Cures,” Time, January 15, 2001; “Next Milestone in Human Genetics,” The Wall Street Journal, May 26, 2000; “Biotech Bodies,” Business Week, July 27, 1998.
結論
これらの進歩が実現するか否かは、幸運を含めた幾つかの要素にかかっている。しかし、私たちがコントロールできる要素も幾つかある。例えば次のようなもの
- 生物医学における基礎研究の支援
- 知的財産の保護
- 効率的な規制制度
- 市場に即した医療の提供
- 薬の価値に対する正しい評価