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COVID-19ワクチンへの信頼を築くためにバイオ医薬品業界が取り組んでいること

COVID-19ワクチンへの信頼を築くためにバイオ医薬品業界が取り組んでいること

【米国発:寄稿】
COVID-19ワクチンへの信頼を築くためにバイオ医薬品業界が取り組んでいること

※当資料は、現地時間2020年11月25日に米国のオピニオンサイト“STAT”で発表したスティーブ・J・ユーブル PhRMA理事長による寄稿を日本で抄訳したものです。

米国ではここ数週間における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数が1日に10万人を超えており、累計では1,000万人という驚くべき値を数えるに至っています。厳粛かつ屈辱的な事実であると言えるでしょう。

COVID-19ワクチンの開発の進展に関しては、勇気づけられる朗報もありますが、同時に、感染拡大を抑止し、かつてのような日常生活を取り戻すためには、これらのワクチンに対する米国民の信頼を確保することが不可欠です。

『ランセット』に掲載された研究者の報告によれば、全米レベルで感染拡大をコントロールするためには、ワクチン接種が有効であると大多数の国民が確信することが必要となります。アンソニー・ファウチいわく、「もし有効性の高いワクチンがあっても多くの人々が接種していなければ、ワクチンの効果は十分に発揮されなくなる」とのこと。

広く報道されている世論調査によれば、国民の相当数がCOVID-19ワクチンに関しては静観の構えであるとされます。科学を拠り所とするバイオ医薬品業界に身を置く私たちは、コロナ禍における自らの重要な責務は各社のCOVID-19ワクチンの研究開発プロセスに関する情報を公開することだと認識しています。これには、米食品医薬品局(FDA)による審査に供する前に、全てのワクチン候補の試験をあらゆる背景を持つ数万人の人々を対象に行うことも含まれるでしょう。

関連記事: 製薬業界団体が臨床試験の参加者の多様性を向上させるためのガイドラインを発表 (英文のみ)

情報公開と透明性こそが、不確定要素やワクチンへの抵抗感を取り除くために必要なのです。COVID-19ワクチンの開発の安全性と信頼性を確保するためにバイオ医薬品業界が行っている3つの取り組みを以下に示します:

最高水準を満たす
COVID-19ワクチン候補は、非常に大規模の第3相試験を実施するなど、他のワクチンの臨床試験と同様の標準を満たす必要があります。これは絶対に守らなければなりません。

ファイザーやモデルナのワクチン候補はそれぞれ40,000人と30,000人を超える参加者を募って世界的な試験を行っており、アストラゼネカは60,000人規模の試験を予定しています。現在世界では30種類を超えるCOVID-19ワクチンが臨床試験段階にあり、そのうちのいくつかは第3相において有望な結果を示しています。加えて、多くの開発企業が、そのワクチンに関する薬事承認が得られた暁にはできるだけ早く供給体制に入れるよう、財政リスクを覚悟の上で、FDAの審査に供する前の段階で、既にこれらワクチン候補の大量生産を開始しています。

研究者たちは臨床試験の全てのプロセスにおいて有害事象の報告を含めた各種データを綿密に精査し、全てのワクチンの安全性を確保しています。ワクチンの安全性と有効性が認められ、FDAから承認もしくは緊急使用許可が得られた後でも、開発企業は製品の安全性を確保すべく、品質を維持するための製造工程の管理や供給後の有害事象を監視・検証するための努力を継続しなければなりません。

ワクチンは健康な人々に接種されるものであるため、FDAやその他の国の規制当局による審査を経る前に、製薬業界は多種多彩な参加者を対象とした大規模の臨床試験によってその安全性と有効性を確認する必要があるのです。

透明性を確保する
バイオ医薬品業界は、できうる限りタイムリーで、正確かつ透明性の高いデータを提供すべく、猛スピードで取り組んでいます。臨床試験のプロトコルや参加者募集の更新情報も各社間で可能な限りリアルタイムに近い形で共有されるようになっていますが、これまでに見られなかったスピードで、企業間のみならず、公的機関や学界とのデータ共有も進んでいます。また、米国内で行われた臨床試験のデータは、ClinicalTrials.govのデータベースで一般にも公開されています。

バイオ医薬品業界は、COVID-19ワクチンの緊急使用許可の基準に関して最近発表されたガイドラインなど、ガイダンス制定に取り組むFDAの活動も支援しています。

関連記事: 2種類のCOVID-19ワクチンに関する有力なデータ:今後の進展に関するQ&A (英文のみ)

これらワクチン候補の安全性への信頼を高めるためのFDAの取り組みは注目に値します。FDAは先頃、「ワクチンならびに関連の生物学的製剤に関する諮問委員会(VRBPAC)」に、このたびのワクチン候補の審査プロセスを堅牢なものとすべく、取り組みを開始させました。VRBPACは米国民を対象としたワクチン規制におけるFDAの役割を支援すべく独立の審査とガイダンスを提供する組織です。COVID-19ワクチンに関する最初の会合の様子はYouTubeで世界に公開されました。VRBPACの会合は今後も開催されることが発表されており、FDAによるCOVID-19ワクチンの審査への助言とガイダンスも追加して提供されることとなっています。

私が身を置くバイオ医薬品業界は、ワクチン研究開発の全てのプロセスにおいて最高水準の研究、臨床試験、製造工程が維持されるべく全力を挙げて取り組んでいます。これを実現し、また、ワクチン候補への信頼をより高めるべく、COVID-19ワクチンの開発に取り組む大手メーカー数社は、「最初のCOVID-19ワクチンの開発においてはワクチン接種を受けた人々の安全と健康を最優先課題とする」という声明を発表しました。もっとも、この取り組みは決して目新しいものではなく、業界が常日頃から心がけていることではありますが。

多様性をさらに推し進める
バイオ医薬品業界は、過去にそのような過ちがあったことから、今回もやはり有色人種を臨床試験から除外しているのではないかという懐疑論や体制上の問題点にも対処しています。

臨床試験は、生命を救う可能性のある治療薬や高度な医療への人々のアクセスを提供するためのものです。臨床試験に参加する人々の多様性を高めることは、承認されたワクチンを利用することになる患者さんの全体像をより正確に反映したエビデンスの獲得につながるでしょう。

関連記事: COVID-19ワクチンはエッセンシャルワーカーに優先的に与えられる見込み (英文のみ)

この取り組みの手始めとしてバイオ医薬品業界は、FDA、患者団体、医療従事者など研究のエコシステム全般に関わるステークホルダーとの協力により、より多くの人々が臨床試験に参加できるような戦略を立案・実施しており、COVID-19関連の臨床試験においてはこの点に特に注意が払われています。私が理事長を務めるPhRMAも先頃、臨床試験の多様性に関する業界初の基本原則を発表しましたが、これは、健康に関する平等性の確保に向けた重要なステップとなるでしょう。

これらの取り組みは成果を上げつつあります。モデルナによるワクチンの臨床試験には、「被験者全体の37%に相当する11,000人が有色人種のコミュニティから参加。この割合は全米総人口における有色人種の人口比に類似している」とのこと。ファイザーも、臨床試験の参加者を当初の最大30,000人から44,000人に増やし、参加者の多様性を高めています。

未来に向けて
バイオ医薬品企業は、COVID-19を予防するための安全で有効なワクチンの特定・開発、及び同感染症に対する新たな治療法の研究・開発にあくなき努力を続けています。パンデミックには喫緊の対応が必要であり、人間の免疫システムとその病気への反応は複雑であることを踏まえ、少しでも多くのワクチンや新薬が成功裏に生み出される可能性を高めるための幅広いアプローチが現在施行されています。

多くのバイオ医薬品企業は同時に、心疾患やがんなど様々な疾病の治療薬を生み出すための努力も継続しています。

COVID-19との闘いにおいては、安全性を最優先としながら、オープンかつ透明性の高いプロセスにより臨床試験における多様性を確保することこそが、未来のバイオ医薬品のイノベーションを確保するためのモデルであり、全ての企業は今後もこの理念を重視すべきであると私は考えます。

未だ先は十分に見通せない状況にありますが、科学の力によって日常を取り戻せるものと私は確信しています。

スティーブ・J・ユーブルは、米国のバイオ医薬品企業を代表する業界団体PhRMAの理事長兼CEOを務めています。

オリジナル記事は下記よりご覧ください(英文のみ)
https://www.statnews.com/2020/11/25/covid-19-vaccines-confidence-building-biopharma-industry/