PhRMA

facebook

【米国発:ブログ投稿】COVID-19関連イノベーションの知的所有権放棄は不要かつ有害

【米国発:ブログ投稿】COVID-19関連イノベーションの知的所有権放棄は不要かつ有害

【米国発:ブログ投稿】
COVID-19関連イノベーションの知的所有権放棄は不要かつ有害

メーガン・ヴァン・エッテン (PhRMA パブリックアフェアーズ)

※本記事は、米国研究製薬工業協会(PhRMA)米国本部が、現地時間2022年5月23日に米国本部ウェブサイト内のブログ投稿を日本で抄訳したものです。

バイオ医薬品企業はゼロからスタートして、これまでの2年間で130億回分のCOVID-19ワクチンを生産しています。COVID-19関連イノベーションの世界的需要を満たすべく、全ての大陸において業界を挙げた努力を重ねてきました。貿易当局者は6月開催予定の世界貿易機関(WTO)の閣僚級会合において、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」に基づき、パンデミック関連製品の知的所有権(IP)を停止することを各国に許可すべきか、そしてそれをどのように許可すべきかを議論する予定です。以下に、知的所有権放棄が論外の手段であることの理由を3つ述べ、政策立案者たちが努力を傾けるべき問題について説明します。

ワクチンは十分すぎるほど供給されている
COVID-19ワクチンはこれまでに137億回分が生産され、今年末までに推定200億回分の製造が可能であり、需要に対して十分すぎるほど供給されています。知財放棄の提唱者たちがTRIPSに基づく放棄を提案した当初は、生産を加速させる必要性を主張していました。しかしながら、知財を放棄することなく、ワクチンの世界的需要は満たされたのです。今や、ワクチン無償提供の一時停止を求めている途上国がある一方で、低需要のためワクチンを破棄している国もあり、南アフリカのあるCOVID-19ワクチン製造工場は注文がないため閉鎖の危機に晒されているほどです。

知財が進歩を促進した
米国では強靭な知財エコシステムにより、COVID-19ワクチンと治療薬がアイデアの段階から患者さんにとって価値のあるイノベーションとして結実するに至っており、今日もなお、このイノベーションに対する更なる研究開発が続けられています。加えて、強力な知財保護、自発的な技術移転、そしてパートナーシップにより、COVID-19の治療や検査など他のイノベーションがこれを後押しして、現在では世界へ十分過ぎるほどのCOVID-1919ワクチンの製造が可能となっています。このエコシステムを覆すことは、このような驚異的な進歩を抑制し、次のパンデミックへの備えが不十分となる事態を招きます。

リーダーたちは真の課題に取り組むべき
世界のリーダーたちは、物流におけるラストワンマイルサプライチェーンの問題低需要などといった、COVID-19のワクチンや治療薬を世界の人々に供給・投与する上での真の課題に取り組むべきです。真の課題が供給面ではなく物流面にあることは、世界のリーダーたちも数カ月前から気付いています。ホワイトハウスの元コロナウイルス対策調整官であるジェフ・ザイエンツも最近、「世界中でワクチン接種を妨げているのはもはや供給面の問題ではない」と述べています。ユニセフのアドボカシーリーダーのリリー・カプラニも、流通、医療提供能力、ワクチン接種へのためらいなどのワクチン接種を進める上での障害に対処するためには、知的所有権放棄は「おそらく必要でも十分でもない」と述べています。第2回目となるグローバルCOVID-19サミットに関する最近の取り組みにおいても、やはり流通とインフラに焦点が当てられています。WTOは、知財を損なうことに取り組むのではなく、COVID-19や将来の健康危機に対応するルールに基づく国際貿易システムを強化するための強固な貿易と健康に関する議題に焦点をあてるべきです。

知財の放棄に向けた努力は不要であることが既に証明されており、今回のパンデミックを収束させ、次なる世界的な健康課題のためにイノベーションを継続させるべく私たちが総力を結集させて取り組んでいる活動に対して有害ですらあります。世界各国及び国際組織のリーダーたちは、COVID-19ワクチンに関しては供給面がアクセスの障害ではないことを認めています。そうであれば、現在と将来の進歩を担うイノベーションエコシステムを根底から覆す以外の何物でもない知財放棄に当局者はなぜこだわるのでしょうか。

原文はこちらからご覧ください。
PhRMA米国本部:ブログ
Intellectual Property waiver on COVID-19 innovation is unnecessary and harmful