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【トランスレーショナルリサーチ・コロキアム】第11回目実施レポート

【トランスレーショナルリサーチ・コロキアム】第11回目実施レポート

【第11回トランスレーショナルリサーチ・コロキアム】
「アルツハイマー病の超早期診断と介入治療戦略-4」

日時:2021年12月18日(オンライン会議)


PhRMAは去る2021年12月18日、トランスレーショナルリサーチ・コロキアム「アルツハイマー病の超早期診断と介入治療戦略-4」をオンライン会議形式で開催しました。

アルツハイマー型認知症(AD)の治療薬開発は、PhRMA加盟企業を含め多くの国内外の製薬会社が長年集中して取り組んでいるにも関わらず、そのほとんどがフェーズ3(第III相臨床試験)の高い壁を超えることができていない、極めて成功確率が低い疾患です。
これまでの多くの失敗から、ある程度認知機能低下が進行した状態では治療効果を示すのが現実的に困難であるため、治療の対象はより早期の患者さんへとシフトしています。
近年ではようやく、疾患の進行を抑制する疾患修飾薬(Disease-modifying drug)が次世代のAD治療薬として注目されていますが、製薬企業・アカデミア・公的研究機関等において単独では克服困難な疾患特有の“壁”を乗り越えるために産官学の連携(Public–Private Partnership: PPP)を築く必要性が高まっています。

本コロキアムでは、岩坪 威先生と小野 賢二郎先生を議長に迎え、2017年、2018年、2020年の3回に渡って議論してきた「アルツハイマー病の超早期診断と介入治療戦略」をテーマに、最新の事例や医療経済学、当事者・支援者からの視点なども新たに取り入れ、産官学の研究者及び関係者の先生方と、さまざまな立場から深く議論を行いました。

ディスカッションポイント:
世界初の疾患修飾薬の登場でADの診断や治療はどう変わるのか

  1. 早期発見・早期鑑別が可能で、価格が安く、しかも簡便な診断法の開発
  2. 最適な投与対象者を見極めつつ保険償還すべき
  3. 限られた医療費の中で効果的に治療を行う観点と、治療機会の公平性を担保する観点から、投与対象者の議論

今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、各参加者がリモートで参加するオンライン会議形式での実施となりましたが、合計40名(オブザーバーを含む)もの有識者にご参加いただきました。
当日は2部構成とし、第1部ではADの最新の研究、バイオマーカー開発の進展、AD治療の価値評価・費用対効果についてそれぞれご専門の先生からご発表いただき、当事者・支援者団体の方からは認知症当事者(本人・家族)の願いについてご紹介いただきました。第2部ではフリーディスカッションを実施しました。
AD治療薬開発の様々な研究成果が実り、疾患修飾薬の臨床での実用化直前まで来た現在の薬への期待や限界点、社会における実装のための問題点、将来的な展開の可能性などについて、それぞれのお立場から議論していただいた結果、前回から確実に大きな進歩を遂げていることを認識するとともに、認知症当事者の方がより良く生活していくための薬や方法を検討していくべきだと参加者の皆さんで再確認する機会となりました。

トランスレーショナル・リサーチコロキアム
トランスレーショナルリサーチ・コロキアムはアカデミア、規制当局、製薬企業などで研究開発に携わっている研究者の方、テーマに携わる様々な方にご参加頂き、異なる立場からの議論をもとに、直面する課題に対するソリューションを探る機会を設けるもので、2015年より継続して開催しています。
また、PhRMAは2013年より産官学の連携で国内アカデミア創薬を促進・サポートする活動として、「ヤング・サイエンティスト・シンポジウム」の開催や、国内の若手研究者を米国に短期間派遣し、米国における保健医療政策、医薬品研究、規制慣行、トランスレーショナルリサーチの最新情報を学ぶ「マンスフィールド-PhRMA 研究者プログラム」の実施など、トランスレーショナルリサーチの活性化、啓蒙を命題とした活動を行っており、本コロキアムもその一環として開催しています。

参加者一覧(敬称略)

議長
岩坪 威 東京大学大学院 医学系研究科 神経病理学分野 教授
小野 賢二郎 金沢大学大学院医薬保健学総合研究科脳老化・神経病態学(脳神経内科学) 教授
厚生労働省
田中 稔久 老健局認知症施策・地域介護推進課 認知症対策専門官
アカデミア
富田 泰輔 東京大学大学院薬学系研究科 機能病態学教室 教授
徳田 隆彦 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所
脳機能イメージング研究部 脳疾患トランスレーショナル研究グループ 医長
樋口 真人 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所
脳機能イメージング研究部 部長
佐原 成彦 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所
脳機能イメージング研究部 上席研究員(グループリーダー兼務)
池内 健 新潟大学脳研究所 附属生命科学リソース研究センター
バイオリソース研究部門 遺伝子機能解析学分野・生命情報工学分野 教授
五十嵐 中 横浜市立大学医学群 健康社会医学ユニット 准教授
当事者・支援者団体
鈴木 森夫 公益社団法人 認知症の人と家族の会 代表理事
製薬企業
畠山 直久 日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部
バイオ医薬品領域本部&臨床薬理メディカル クリニカルリサーチサイエンティスト
小川 智雄 エーザイ株式会社 ニューロロジービジネスグループ 日本・アジア臨床開発部
相田 匡史 バイオジェン・ジャパン株式会社 コーポレートアフェアーズ本部 本部長
オブザーバー
大脇 健二 PhRMA Translational Research Subcommittee 代表/日本イーライリリー株式会社
近藤 修二 PhRMA Translational Research Subcommittee/バイオジェン・ジャパン株式会社
星子 麻記 PhRMA Translational Research Subcommittee/バイオジェン・ジャパン株式会社

ほか