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プレスリリース
2025.11.20

共同ステートメント 「治験エコシステム業界宣言2025」の発出について

2025年11月20日
日本製薬工業協会
米国研究製薬工業協会
欧州製薬団体連合会
一般社団法人日本CRO協会

共同ステートメント
「治験エコシステム業界宣言2025」の発出について


日本製薬工業協会(製薬協)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、一般社団法人日本CRO協会(JCROA)の4団体は、治験環境の国際競争力向上を目指し、共同ステートメント*1「治験エコシステム業界宣言2025 -質に関する課題を解決し、治験オペレーションの最適化・合理化を目指す-」を発出しましたのでお知らせします。

【日本のドラッグロス/ラグの現状】 日本では、海外で既に承認・販売されている新薬が国内では未承認のままとなり、患者さんが必要な治療を受けられないという重大な問題が生じています。2014年から2023年にかけて欧米で販売された新薬のうち、2024年11月時点で245品目は日本では未販売であり、これらの新薬のうち、124品目(51%)は日本では開発未着手でした。また、欧米で後期臨床開発段階にある新薬の70%が日本では開発未着手*2となっており、これは、他国に対して医薬品の承認が遅れることを意味する「ドラッグラグ」に加えて、そもそも日本で医薬品が開発されないことを意味する「ドラッグロス」というさらなる課題の増加を示しています。現在、行政、医療業界、産業界等が協力し、“ドラッグロス/ラグ”の課題解決に向けて様々な取り組みが行われています。

【国際治験への参加増加に明確な目標設定】 ドラッグロス/ラグが発生している要因は複数ありますが、その要因の1つとして、国際共同治験への日本の参加率の低さが挙げられています。現在の医薬品開発は、世界同時に開発を進めるために、様々な国が参加する国際共同治験を行い、その結果をもって各地域・国に承認申請を行うことが主流となっています。そのため、国際共同治験に参加することが、他国と同じ時期に新薬を承認・販売することにつながると言われています。「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」による中間とりまとめでは、国際共同治験の初回治験届出(新たな薬剤の開発時に出される届出)数を、2028年迄に、2021年の1.5倍にあたる150件まで増加させることを目標としています。

【治験におけるより効率的な運用】 国際共同治験への日本の参加率が低い背景には、日本の治験環境は国際共同治験に参加するための基準を十分に満たしているものの、欧米諸国と比べて、日本特有の運用面における複雑さや手続きの煩雑さが、治験の効率性を損なう要因となっていることが挙げられます。 2024年度より、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、こうした課題に対応するため、「治験エコシステム導入推進事業」を開始しました。この事業では、治験に関わる多様な関係者が連携し、治験の質を維持しつつ、より効率的な運用を可能にする「治験エコシステム」の構築を目指しています。

【治験実施体制の最適化・合理化】 私たち4団体も本事業に協力し、日本の治験実施体制を最適化・合理化することにより国際競争力を向上させ、日本における国際共同治験の実施件数を増加させるために、行政、医療業界と協業しています。その一環として、治験の質に関する課題への対応を進めており、業界として治験実施の最適化・合理化に向けた事項を共同ステートメントとして取りまとめました。他国では実施されておらず日本だけで過剰に実施している手順を見直すこと、重要な事項に資源を集中させること、治験を実施する医療機関との対話を重視することを推進すると宣言しています。業界担当者による議論を更に活性化するため、2026年にはワークショップの開催を予定しています。

私たちは、より多くの医薬品をより早く日本の患者さんに届けるために、日本が世界同時新薬開発において欠かせない国となるよう、本ステートメントの理念を胸に今後も活動を推進していきます。

*1:本ステートメントは、製薬協 医薬品評価委員会、PhRMA技術委員会 臨床部会、EFPIA技術委員会 臨床部会、日本CRO協会がとりまとめました。
*2:PhRMA定例記者会見(2025年4月8日)より引用。

以上

【本件に関する問合せ先】
日本製薬工業協会(製薬協) 広報部 TEL:03-3241-0374
米国研究製薬工業協会(PhRMA) 広報事務局 TEL:03-5427-7322
欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan) 渉外・広報委員会 Communications.SAJ@sanofi.com
(サノフィ株式会社内)
日本CRO協会 事務局 TEL:03-6262-5472

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